2010年01月11日
解釈の多様性
3連休にたまった仕事を片つけなければと思いながら、ちょっとマイナーな映画を見た。
「倫敦から来た男」(監督タル・ベーラ、ハンガリー、2003)である。映画ファンにはかなり高名な監督らしいが、私は初めて見た。
ジョルジュ・シムノン原作だが、たぶん原作と監督自身の意図を超えた作品になっていると思う。モノクロの特徴を最大限利用した、長まわしとカメラの超スローな移動によるなんとも独特な世界である。
能の世界に影響されていることは確かで、時間の流れが通常の半分くらいの速度で過ぎ去るのだ。それでいてテーマは具体的であり、いちおうサスペンス的装いの内容なのだ。
擬音の使い方、カットのみごとな芸術性(画家のハンマースホイと類似したシーンがなんども登場する)だけでも見るがわには緊張を催す。
明快なテーマやドラマトゥルギーがないだけに、観終わった後で頭の中をずっと駆け巡る映画を私は好きだ。
解釈の多様性を残した映画、監督自身も観客にゆだねてしまっている映画こそ私は素晴らしいと思う。
パンフを購入したが、監督の意図を読んでもまったく共感できなかった。ということは、作者の意図を超える作品になっているわけで、そのような映画はなかなかつくれるものではないだろう。
ちょっと衝撃が深い映画だった。





