2011年10月18日
ノルウェー王国大使館でのシンポ
少し時間が経ってしまったが、先週の金曜(10月14日)はノルウェー王国大使館で行われたシンポに登壇した。王国ということを寡聞にして知らなかったのです、ごめんなさい。
スイス大使館の向かいにあるのだが、入ると「DV講演会」という道案内が各所に貼ってあるのが目につく。ああ、夢のようだと思った。残念ながらDVという文言の入った講演はどこか裏街道みたいなところがあるからだ。それがこの華やかな大使館の中庭に~っていう妙な感慨。
それにもましてホール入り口にプールがあることに興奮。まるでハリウッド映画のスター豪邸みたいな雰囲気なのだ。なんでも大使館職員の子どもたちが夏には遊ぶのだそうだ。
終了後大使から「ぜひプールに泳ぎに来てください」と言われ、「来年の夏にはね、ぜひぜひ。美しいビキニでも着ますよ」なんて答えてしまった。もちろん英語でだけど、冗談が過ぎるよ大使!、いやそれは私だった。
シンポ全体は念入りに準備されており素晴らしい運営だった。ノルウエー「男女平等の本」を出版する会の荒川ユリ子さん、ノルウエー夢ネットの青木順子さん、DV防止ながさきの中田慶子さんの三人からスタートした「パパと怒り鬼:話してごらん、誰かに」出版プロジェクトが実を結んだのだ。
満員のためずいぶん断ったとのことだが、各地からさまざまな方たちが参加された。ジェンダー関係のメーリスで名前だけ存じ上げていた方とお会いできたり、マスコミの方も多かったり、東ちずるさんとも久しぶりにお会いしたり(やっぱり美しい!!!)、名刺入れがパンパンになってしまった。
30分ということで、かなり省略したパワーポイントをもとに講演したのだが、いわば部外者にわかりやすく伝えるということは本当に緊張する。
終了後尊敬する大島かおりさんから、説得力のある講演だったとおほめにあずかった。講演については、ずっとずっと努力してきたのだ。
30代のころに講演デビューしたのだが、もっとも役立ったのは精神科病院で10年近く「教育プログラム」を実施したことだ。毎週土曜日の午前中、H病院のアルコール依存症専門病棟で90分の話をするのだ。50人近い患者さん(ほぼ男性)を相手に、とにかく彼らが眠らないように、彼らにも理解できるように一生懸命工夫して話をした。その経験が本当に役立っている。
あの~、え~といった言葉をさしはさまず、明快に、ゆっくり、ポイントを突いて、しかもユーモラスに話すこと。
毎回が訓練だった。あの10年間がなければ今の私の講演はなかったと思う。
終了後プレスの取材があり、公邸でのレセプションがあった。とにかく料理がおいしかった。日本の鯖の80%はノルウエー産だということも初めて知った。お鮨、シチュー、豚の丸焼き、などなど。残念ながら残り少なかったが、よくある学会の立食パーティーみたいなケチなメニューではなく、量も質も申し分なかった。
あのシンポの意味は、DV加害者プログラムとフェミニズムとの接点にあったと思う。ノルウエーでも1980年代から実施されたDV加害者プログラムは、フェミニストとの緊密で良好な関係がなければうまくいかなかったという。参加者の皆さんに私たちのDV加害者プログラムの原則、歴史、実施内容を知っていただけたことが何よりの収穫だった。
多くのひとは男女平等政策達成において世界第二位のノルウエーでもDVがあるのかと驚かれたようだ。日本と比較して、高福祉や政策変更がDV防止に意味がないと短絡的に解釈されるのは本意ではない。
先日のテロも衝撃だったが、ジェンダー意識というものは、政策や教育によってどこまで変わるのかということを表しているのではないだろうか。男性優位主義(メールショービニズム)、女性差別の根深さを痛感する。





