2008年02月05日

性的虐待をあつかったNHKの教育テレビ

久々の大雪(といっても都心は3センチほど)、そんな日はひたすらこもって窓越しに降りしきる粉雪を見上げているのが最高だ。なにしろ、最近転ぶことが増えたので、今度転んだらどこかの骨がポキっと折れるのではないかと怖れている。
昨晩はRRP研究会のDV加害者プログラム最終回。終了後、帰る道すがらの原宿の裏通りにはまだ雪が残っていた。でも、もう今日はすっかり溶けてしまった。

今日の昼、NHKの教育テレビで「ハート・・」という番組の再放送をしていたので、テーマに惹かれて思わず見てしまった。
なんとテーマは「性的虐待」だった。
おお、日本でもテレビでこのテーマを扱うようになったのか、いくらインサイダー取引が発覚しようと、私がちゃんと料金を払い続けているだけあって、さすがNHKよのう・・・とほめてやりたくなった。
ゲストは石田依良、ソニン、そして専門家としてはN氏が出演している。司会は桜井さん。
義父からの性的虐待を生々しく語る本人(30代、シングルマザー)の発言を流す。もちろん本人の姿はボカシが入っているので、必然的にカメラはゲストの表情を追うことになる。
話終わったところで、司会の桜井氏がこう質問した。
「逃げようと思わなかったのですか?」
おいおい、それは愚問だろう。なぜ逃げなかったのか、それは逃げようとしないあなたが悪いのでは、とつながってしまうだろう。
ちゃんとそこで、専門家がしゃしゃり出て、当事者の代弁をしなければならない。
「それはね、7歳の少女には不可能なんですよ」と。だって、当時の彼女は性的虐待であること、そんな言葉すら知らなかったはずだ。
さすがに石田依良が「生活すべてを依存してるんだから、それはできないよなあ」とつぶやいた。
なぜ逃げられないか、という質問はおそらく一般のひとびとが抱きやすい当たり前の質問かもしれない。しかしちゃんとマスコミの側は、その理由を知った上で、逃げられなかった本人への責めが加わらない配慮が要るだろう。
さらに、知りつつ彼女をかばわなかった母と、さらには義父ともつきあいがあるという本人に対して、「それはまずいんじゃないの」「ちゃんとそのことを公開したほうがいいよ」との発言がゲストから続く。
おいおい、と言いたくなる。だんだん頭に血が上ってくる。
そんなこと言う前に、話すことがあるだろう。
彼女は、天災に遭ったわけでもなく、交通事故に遭ったわけでもないのだ。まだ生きている、のうのうと生きている義父によってそのような行為の被害を受けているのだ。
とすれば、なぜ逃げないか、今からでもいいちゃんとそのことを抗議しなさいよ、などと言えた義理ではないだろう。
「どうしてその父を犯罪者とできなかったのか、そのシステムの問題点はどこにあるのか」「今からでもいい、弁護士に依頼してその被害を立証する手立てはないのか」と発言が続くべきではなかったか。
それに、ゲストのひとたちは、彼女に対して
「よくぞ話してくれました」「勇気が要ったでしょう、ありがとう」とまず御礼を言わなければならない。そして
「性的虐待の与える影響は果てしなく大きいといわれているのに、ここまでちゃんと子どもを産み育ててきたことに対して、こころより感嘆します」と讃えなければならないのだ。
そう思うと、番組を見続けることが私にとって大きなストレスになりそうだったので、テレビを切ってしまった。
テーマとして選んだことを、大きく評価したい。でもあのような扱いは、ちょっと問題がある。
当事者のひとたちがあの番組を見ていたら、どのように感じただろう。
ああ、この程度にしか扱われないのか、と思ったかもしれない。
性的虐待というテーマは、被害に対する無知が一般的なだけに、少しずれるだけで二次被害を生んでしまう危険性があることを知った。
まずそこからはじめるしかないことはわかるが、いずれ、性的虐待をする父とはどのような人たちかという掘り下げ、関心につながってくれればと思う。こんなに加害者への関心が遮蔽された虐待はないからだ。

投稿者 sayoko: 18:59