2007年02月13日

ヌーベル・キュイジンヌ

先週は、朝カルの3回目(木曜)、明治安田生命こころの健康財団の講義(金曜)と8時間労働プラス夜間のお仕事が続いた。なんなくそれをこなしていたときもあったが、やっぱり風邪の余波なのか、鼻水と咳が出て突然倦怠感に襲われる。
ひとつの仕事から別の仕事に移動する時間が、好きだ。あせあせと電車に乗って、週刊誌を老眼鏡で読む。駅を降りて時計を見ると、予定まで20分残っている。このときの快感ったらない。おお、何をしようか、とわくわくする。
まるで、こどもが広い野原のまんなかで太陽を浴びてこれからどうしようと胸を高鳴らせているような感じだ。
それが新宿だったら、迷わず伊勢丹の四階に行って洋服を見るとか。ちょっとカフェに入って本を読むとか。突然現れた余白の時間ほど楽しいものはない。
空港のトランジットの1時間は長すぎるけど、東京でのマックス30分から1時間の自由時間はいいね。
子育て真っ最中のときは、保育園にお迎えに行くまで、30分の空白が許されたときに私はいつも飢えたように書店に行った。たいてい哲学か社会学コーナーに行って、ぱらぱらと立ち読みをする。独特の紙のにおいと、ほのかなインクのにおいが私を包んだ。
最近はめったにそんな時間は無い。それどころか移動中に夕食を食べなければならないのだが、そんな時間も無いくらいタイトである。
金曜は高田馬場で講演を済ませ、8時20分に明治安田生命のビルを出た。小雨が降っていたが、どうにも空腹で目が回りそうだった。こんなに見えて(ええっどんなに見えると思っているのだろう)、実は私は外食が苦手なのだ。還暦を過ぎても、ひとりでお店に入ることに抵抗がある。
自宅で食事を・・と思いながら高田の馬場駅に向かって早稲田通りを歩いていた。突如右側に「二代目えびそば」と書いたラーメン店が目に入った。「むむっ」と直感が働く。
一度それでも通り過ぎたのだが、そ知らぬ顔でもどり、そのお店に入った。
緊張していたが、わざと「もう、なんども来てるのよー」といった態度で食券を買った。
つけめんだったが1100円という高さ。細長いカウンターだけの店だが、店主(若い男性)と2人のかわいい女の子がラーメンをつくっている。
まず細長いお皿につけめんのトッピングが並んで出される。その次に丼が受け皿の上に60度傾いた状態で乗せられた(つまりそういう形状の丼)まま登場。つけ汁は別途小どんぶりに入って出てくる。トッピングは、味付け温玉、山くらげのごま油和え、水菜をゆできっちりと絞ったもの、大きな鶏肉のボイルした塊二つ、ねぎ、が整然とならんでいる。
つけ汁(熱い)をゆでたての麺の上にかけ、トッピングを好きにのっけてずるずると食す。あれ?これは?
つけ麺を最近嫌っているのは、つけ汁に酢が入っているからだ。昔有名になりたてのころは、つけ汁に酢は入っていなかったと記憶している。
ところが、そこのつけ汁はすっぱくない。それどころか、えびそばの名のとおり小さなえびワンタンが入って、えびだしの味がする。
上品でかつこれまでにないラーメンの味にすっかり驚き、魅せられた。一気に食べきったが、鶏肉のブロック(塊)はけっこう大きく、でもほろほろとかみ締めるほどに柔らかい。原宿のじゃんがらラーメンなど、替え玉を頼まなければおなかがいっぱいにならないわたしが、満腹感を感じるだけのボリュームもある。
食べ終わって余裕を持って周囲を見ると、いちげんの客らしき人が多い。中には「辛みそです」と店主が初めに出す摩訶不思議な味噌玉(球体)を丼に乗せてまじまじと見ている男性もいる。
高いと思ったが、味とボリュームの双方に満たされたせいか、すっかりご機嫌で高田馬場駅へと向かった。とんこつ系、煮干系など、いやにこってり系のラーメンが増えた中で、あの店は新種のスープ味だった。さしずめ、ラーメン界のヌーベルキュイジンヌとでも名づけるべきか・・・
でも、しばらくは高田馬場に降りる機会もないので、おあずけだ。

投稿者 sayoko: 01:37