2006年10月13日

ブッシュと金正日

北朝鮮の核実験のニュースが連日駆け巡っている。
ブッシュは北朝鮮の狙いと想像される二国間協議には絶対に応じないと言明した。アメリカの恐れるものは核拡散であり、そのためには北の核保有・実験は容認できないのだろう。
といった内容をニュース23で見ていたら、どこかで聞いたような話に思えた。
3年間も引きこもって親に暴力をふるっている息子の姿だ。HCCにはそんな息子をもつ母親が多く相談に訪れる。
「こんな人間に育てたのはお前が悪い。あんな男と結婚したから俺はこんな顔になった。だいたい生んでくれと頼んだわけじゃないのに、なぜ生んだ。生まれてきていいことは何一つなかった・・・・・・だから俺に慰謝料を払え!500万円のところを300万にしておく。一週間以内に払わなければ、この家に放火してやる。皆殺しだ」
といった具合である。
その際に私たちがアドバイスするのは、目先の脅しに乗らないこと、どのような仕組みで息子が暴力をふるっているのか、その仕組みの解読と今後の見取り図の提示を行うので通って欲しい、といったことだ。
さらに、夫の協力が得られるか、脅しに乗らないための工夫、さらに伝えるべき内容を勇気をもってはっきり伝えること、といったことをグループカウンセリング等を通じて学習してもらう。
いつもグループファシリテーターをやりながら感じるのは、「これって国際政治にそっくりだなあ」ということである。
今夜ニュース23に東大の藤原帰一がコメンテーターとして出演していたが、彼が今後の北朝鮮との対応において必要なことを3つにまとめていた。
1、結束、2、抑止、3、交渉
なんとこれはグループカウンセリングでいつも参加者に伝えていることと同じじゃないか。関係国の結束というのは、母と父、さらにカウンセラーが結束することだ。抑止というのは、息子のいいなりになってお金を振り込んだり、逆に息子と同じ脅しを親がするという対応をしないことだ。要は振り回されず、なおかつ放火をしそうになったら火を消しいざというときは110番通報するという対応だ。交渉とは、親が息子のいいなりになれない理由をきっちりと延べ、できることとできないことを区別して提示することだ。
このような相似は、親子関係の諸問題は力関係(権力関係)がからんでおり、ポリティカルな解決にならざるを得ないことから生まれる。さらにDVの夫婦間の問題もこれまた相似である。
夫のもとから逃げるときに私が考案した「置手紙法」を実施してもらうが、これもまたきわめて政治的な配慮から生まれたものだ。
解釈、動機付けなども必要だが、介入においては国際政治と相似の力関係が働く。我々は国連とブッシュ、さらに北朝鮮の金正日、日本、韓国、中国といった錯綜したポリティクスから、臨床の知恵を学ぶことができるのかもしれない。

投稿者 sayoko: 02:32