2005年09月29日
読書の秋
一気に気温が下がり、いつのまにか長袖じゃないといられないようになっている。表参道などはもうとりどりの服装であふれている。キャミで露出しまくっている女の子からブーツ、トレンチコート(今年再流行らしい)の子まで。
昔読書週間というものがあった。読書の秋というのが定番キャッチフレーズで、本を読むのを学校で推奨していたと記憶している。読後感想文とか・・。それでコンテストかなんかがあり、優秀作品は表彰されたんだっけ。
たしかに今の季節はクーラーの必要もなく、夏の喧騒からほっとひといきつけるのは確かだ。でも秋といえば鬱の季節だ。ただでさえうつっぽいひとが落ち葉がはらはらと舞い降りるのを見つめていれば、そりゃ気分は落ちていくだろうなあ。
そんな季節に本を読む?本ってそれほど楽しいものではない。深く考えさせられたり、面白けりゃそれだけ読後の日常回帰は困難になるだろうし。
というわけで読書の秋は軽うつ状態のひとを増加させる効果があるとみた。深刻なうつのとき、ひとはまったく読書ができなくなるのだから。活字を追うことが不可能になるらしい。
わたしは慢性的読書癖があるのだが、またまたたいへんな原稿をかかえこんでいるにもかかわらず本を読んでしまった。
「天使のナイフ」薬丸岳(講談社)・・・江戸川乱歩賞受賞作で、少年事件の加害者・被害者を描いた出色の作品。知人にもらったのだが、お金を出しても惜しくはないと思った。
「下流社会」三浦展(光文社新書)・・この人の本は実にわかりやすい。おそらく細部を捨象してあるからだろうが、危険なほどわかりやすいけれど説得力十分。脱力して今を生きるひとたちは下流なのだそうだ。そのことにいたく納得。さしずめ今回の選挙当選の女性議員たちは上流の女性だろう。女性の二極分化を残酷に示したのが今回の選挙だったとすれば、タイムリーな本ではある。
「帰ってきたもてない男」小谷野敦(ちくま新書)・・この人の書く内容は独特のルサンチマンとアイロニーに満ちていて生理的にそれほど好きなタイプではないが、それでもこの本はなかなか面白かった。頭のいい女でなければだめという男たちに漂う独特のごうまんさを解説してもらった思いだ。
「現代思想ー女はどこにいるかー」青土社・・・定期的にフェミニズムを特集するこの雑誌だが、三分の一も読了できないのが特徴。それでも引用参照のためには必要な雑誌だ。今回は巻頭の上野さんのインタビューにも明らかなように、「ケア」と「トラウマ」が大きなテーマになっている。宮地さんと岡野さんの文が興味深い。
ある殺人事件の被告人に対する意見書というものを弁護士の依頼で初めて書いた。なかなか面白い作業であった。弁護士にはけっこう評判がよかったみたいだ。どんな不可思議な事件でも、追跡可能であるとのちょっとした確信が生まれた。
頭の中はまるでウニのようで、書かなければならない文の多くが胎児のまま漂っているようだ。
こんなときにヨージヤマモトの店に行ってはいけない。ついつい買いすぎてしまうこと必定だから。それくらいの自覚があるうちは大丈夫か?





